バイタルホワイトニングのなりたち

かつては「歯を白くする。」という方法は、歯の神経を取って、歯の内部にホワイトニングの薬剤を入れる「ウォーキング・ブリーチ」という方法しかありませんでした。

歯を白くするために神経を取らなければならない、ということは患者様サイドにとって大きな決心が必要となります。また実際治療する我々歯科医サイドにとっても何となく抵抗がありました。そのため多くの人が気軽に受けられるような治療ではなく、ごく一部の本当に歯の色で悩んでいた人が治療を受ける程度で、一般の人から認知されるのにはほど遠い状況にありました。

しかし1991年、日本の歯科材料メーカーの松風(しょうふう)が世界で初めて生きている歯をホワイトニングできる薬剤を開発しました。開発には安全性を高めるため動物での安全性のテストや臨床治験に約5年の歳月をかけたそうです。それは「ハイライト」という商品名でまずはアメリカで発売され、歯の白さを気にすることにかけては世界一のアメリカ人の間でまたたく間にブームとなりました。その原理は過酸化水素水(H2O2)の還元作用を利用したものです。中学、高校の化学の授業で習ったと思いますが、過酸化水素の中の酸素(O) は化学的に非常に不安定な状態にあり、常に安定な状態であるO2とH2Oになろうとしています。そのO基が歯の表面からエナメル小柱*内の色素に作用して脱色します。これは家庭用の洗濯用漂白剤がワイシャツなどを白くするのと同じ原理です。


このように歯科では画期的な商品であるにもかかわらず、日本の厚生省(当時)の壁は厚く、認可が下りたのはアメリカに遅れること実に7年、98年5月に日本での販売が開始され、我々歯科医が気軽に患者様に対してオフィスホワイトニングを提供できるようになりました。その後、ハイライトは薬事の許可がおりている唯一のオフィスホワイトニング材としてずっと国内で独占状態でした。しかし2006年、モリタより「ピレーネ」というオフィスホワイトニング材が発売されてからその「独占状態」ではなくなりましたが、ピレーネはまだまだ知名度が低く、依然としてダントツに日本国内ではハイライトが使用されているものと思われます。メーカーに問い合わせたところ、開発当初から成分は一切変わっていないとの事です。なにぶん開発からかなりの年月が経っているため、アメリカのホワイトニング材と比較して古さは否めず、世界的な視野で見た場合もはやハイライトを選択する理由はないと思います。

操作性も良いとは言いがたく、粉と液を計って混ぜるため、術者の経験やスキルによりホワイトニングの結果が大きく左右されることとなります。その点現在のアメリカの商品はシリンジを押すだけで自動的に薬剤がミックスされるようになっているので、誰がやっても同じような結果が期待できます。

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